Google Apps for Work 導入で独自ドメインを Gmail で利用できるようにする際の注意点(2)- メールルーティング設定 ~Google Apps 覚書き~

前回の続きです。

前回は、Google Apps for Work 導入に伴い、Gmailで独自ドメインを使えるようにするためのDNSの設定について見てきました。 ただ、前回の記事の設定だけで終わってしまうと、Google Apps for Workを導入していない人は同じドメインメールを利用できなくなってしまいます。

例えば、以前から独自ドメインメールを使用していた場合で、一部の人だけにGoogle Apps for Work の Gmail を導入したいという場合、上の設定だと、送られてきたメールは全てGoogleのメールサーバーに届くので、導入しない人たちがメールを利用できるようにするには、以前のメールサーバーにも届くように追加で設定をする必要があります。

今回は、そんなGoogle Apps for Workで利用している独自ドメインメールを、 Google Apps for Work を導入していない人でもメールを使えるように設定する方法について書きたいと思います。

※ちなみに、私が利用しているサーバー関連の組み合わせは、ドメイン管理&DNSはお名前.com、レンタルサーバーはさくらインターネットです。組み合わせによっては、下記と方法が異なるかもしれません。

二重配信設定か分割配信設定

自分だけがドメインメールを使うなら良いけど、メールだけ他の人も使いたい場面で、Google Apps for Work の Gmail でしか受信できないのは結構イタかったりします。(バイトスタッフやボランティア、プロボノにメールアドレスだけ配布したい場合や、会社ならテスト運用で一部の人だけがGoogle Apps for Work を導入したい場合など) そんな時の対処法として、二重配信と分割配信があります。

参考: 二重配信の設定 分割配信の設定

■二重配信→Googleのサーバーと指定したサーバー両方にメールが届くようにする方法

■分割配信→Gmailで受信されなかったメールを指定したメールサーバーに届くようにする方法

てな感じです。
さらに、二重配信には、以前のメールサーバーかGoogleのサーバーのどちらをプライマリーサーバー(メインサーバー)にするかによって設定が変わります。
二重配信にするか、分割配信にするかはどちらでも良いと思いますが、二重配信のGoogleのサーバーをプライマリーサーバーにする方法が設定としては一番簡単です。

Googleのヘルプにも説明は書いてありますが、素人にはちょっと分かりにくい部分もあるので、下にそれぞれの方法を書いておこうと思います。
前回の記事に書いたDNS設定が完了しているのを前提として話を進めていきます。

二重配信の設定方法

■Googleのサーバーをプライマリーサーバーに設定する

まずは、Googleのヘルプページ。
この設定は比較的分かりやすいので、下のページを参照してもらえればそれで十分かもしれません。

参考:二重配信の設定: Google Apps サーバーをプライマリに設定する

1. Googleの管理コンソール>Appsもしくはアプリ>Google Apps>Gmail>詳細設定
2. 「転送」の項目で「転送先を追加」をクリック
3. 「転送先」の入力欄に、メール受信させたいメールサーバーのホスト名(さくらインターネットの場合、www○○○.sakura.ne.jp)かIPアドレスを入力 ※さくらインターネットの場合、「コントロールパネル」>「サーバー情報の表示」>「サーバーに関する情報」で確認できます
4. 「メール配信先」で「すべてのアカウント」を選択
5. ページ下部に出てくる「変更を保存」をクリックで設定完了

これで、Googleのサーバーに届いた全てのメールのコピーが、指定したメールサーバーに転送されます。
こうすることで、Gmailでなくともその指定したサーバー経由でメールを送受信できるようになります。

■指定したサーバーをプライマリーサーバーに設定する

参考:二重配信の設定: 従来のサーバーをプライマリに設定する

これは、実際に私もやってみましたが、上手くいきませんでした。
原因は、さくらの場合、メールで利用するドメインとドメインエイリアスを同じサーバーで利用すると、外部DNS(私の場合は、お名前.com)を参照せずに内部で転送してしまうことにあるようです。(あくまで推測ですが、状況を見ると恐らくそれであってると思います。)

なお、私が設定した方法は以下の通りです。 同じサーバー内にドメインエイリアスを置かなければ、上手くいくんじゃないかと思います。
※( )内は私の場合の設定です。
※プライマリーサーバの準備は整っている(もしくは既に使用している)ことが前提です。

0. 前回の記事のDNS設定の内、MXレコードを削除、もしくは「無効」にする
1. ドメインエイリアスを用意する(サブドメインを使用して、さくらのサーバー上にmail.○○.comを作成)
2.Googleの管理コンソール>ドメイン>「ドメインやドメインエイリアスを追加」で上記ドメインエイリアスを追加して、所有権を確認(mail.○○.comを追加、TXTレコードを設定して所有権を確認)
3. ドメインエイリアスのMXレコードなどを設定する(お名前.comのDNSレコード設定で、対象ドメイン=○○.comを選択して、mail.○○.comのAレコードとMXレコードを設定) ※Aレコードは○○.comに設定したのと同じもの。MXレコードはGoogle用に設定。けど、Aレコードは○○.comで同じものを設定済みなので、mail.○○.comのAレコード設定はいらないかも??
4. Google Apps for Work  の Gmail でメールを使用したいユーザーのメールアドレスに対して、上記のドメインエイリアスに受信するメールのコピー転送するように設定する。(さくらのコントロールパネルから、△△@○○.com宛のメールを△△@mail.○○.comに転送するように設定)
5. プライマリーサーバーを受信メールのゲートウェイとして指定する(この設定の前にテスト送受信に失敗したので、私はこの設定はしませんでした)

これで、まず、プライマリーサーバーの○○.comにメールが届き、その後、Gmailのサーバーを利用しているmail.○○.comに届くことになります。転送の際に、コピーを転送するようにすれば、両方のサーバーでメールが確認できます。

のはずだったのですが、私の場合、○○.com と mail.○○.com が同じさくらのレンタルサーバーにあったために、○○.com → mail.○○.comの転送時に、お名前.comで設定したmail.○○.comのDNS(MXレコードはGoogleのメールサーバーに設定)を参照せずに、さくらのサーバー内で転送が行われてしまったようです。

※なぜ、そうだと気づいたかというと、Gmailの方に届かない&さくらのメールを受信した際に、ループメールが起こったからです。
さくらのレンタルサーバーでは、複数のドメインが同じサーバー上にある場合、同じユーザー名宛のメールは、全てのドメインで受信するようになっています。なので、あるメールを△△@○○.comと△△@□□.com 両方に送った場合、どちらのアドレスで受信しても、そのメールが2通届くことになります。これは、サブドメインでも一緒です。
つまり、○○.com → mail.○○.com の内部転送により、mail.○○.comで受信したメールは○○.comでも受信することになり、さらに転送され、ループとなってしまったのでした。(自動的にループは止まったので良かったのですが…!)

ちなみに、エイリアスとは、別名とか通称という意味で、例えば上記設定では @○○.com = @mail.○○.com として扱われます。
そのため、@mail.○○.comでGmailを使用しても、表向きは@○○.comとしてメールの送受信ができることになります。 ドメインエイリアスについての説明は、この記事が分かりやすいかもです。

参考:ドメインエイリアスとマルチドメインの違いは…

 分割配信の設定方法

参考:分割配信の設定

こちらも試してみましたが、こちらは上手くいきました。
※( )内は私の場合の設定です。

1. ドメインエイリアスを用意する(サブドメインを使用して、さくらのサーバー上にmail.○○.comを作成)
2. ドメインエイリアスのMXレコードなどを設定する(お名前.comのDNSレコード設定で、対象ドメイン=○○.comを選択して、mail.○○.comのAレコードとMXレコードを設定) ※Aレコードは○○.comに設定したのと同じもの。MXレコードはメール受信させたいメールサーバーのホスト名(さくらインターネットの場合、www○○○.sakura.ne.jp)を設定。
3. Googleの管理コンソール>Appsもしくはアプリ>Google Apps>詳細設定
4. 「転送」の項目で「転送先を追加」をクリック
5. 「転送先」の入力欄に、上で用意したドメインエイリアスを入力(mail.○○.comを入力) 4. 「メール配信先」で「不明なメールボックスアカウントのみ」を選択
6. ページ下部に出てくる「変更を保存」をクリックで設定完了

これで、Gmailで受信している人はGmailで、それ以外の人は別のメーラーで受信することが可能になります。

なお、この場合、GmailならGmailのみ、それ以外ならそれ以外のみに配信されます。 なので、Gmail受信している人も、別のサーバーやそれまで使っていたメールサーバーで受信したい場合は、Gmail内の「設定」>「メール転送設定とPOP/IMAP」>「転送先アドレスを追加」で転送先をドメインエイリアスのアドレス宛(私の場合、△△@mail.○○.com)に設定すればOK。

ただし、この方法は、さくらのレンタルサーバーで同じサーバーにドメインエイリアスを設定しているから出来ることかもしれません。(なぜかは、当記事の「二重配信の設定方法」の項目の中の注釈を参考)

いかがでしたでしょうか?
皆様のよいGoogle Apps for Work 導入の一助になることを願っています!

※その他の参考サイト

さくらのレンタルサーバでメールを使うための他社DNS設定・メールアドレス作成・受信送信テスト手順メモ
さくらとGoogle Appsの併用に問題が(←この記事の対処法は、分割配信設定と同じかな?)
お名前.comでサブドメインを設定する方法